「大学入試共通テスト」の英語 早くも各大学「採用する気なし」モードへ
こんにちは。masaです。
今回は、日本の英語教育に関する次のようなニュースを、話題として取り上げてみたいと思います。
再来年度から始まる、「大学入試共通テスト」。その中でも、実施する価値があるか議論が絶えない、「英語」についての記事となっています。
英語の試験は民間に委託 4技能の評価を図る
大学入試共通テストの英語は、これまでのセンター試験と異なり、民間の英語試験を用いて点数を数値化する仕組みとなっています。
実際に用いられる英語試験は、次の通り(一部抜粋)
もちろん、各試験結構な受験費用(数千円)はかかります。
民間に英語試験をゆだねる主な理由は、「4技能」(読む・書く・聴く・話す)を試す試験を導入するため。
たくさん疑問が残る英語の新テスト
筆者も、以前から多くの疑問を抱いています。
疑問① 異なる試験でどのように公平性を保つのか
次のような疑問が沸き起こります。
- 異なるテストで、どのように公平性を保つのか?
英検とTOEICでは、そもそも問題の質や、試験の目的などが違っています。
試験の選び方によって、成績が良くなることも、悪くなることも起こり得る。
明らかに公平性について問題のある試験形式だと、筆者は考えています。
疑問② 試験でそもそも4技能を図る必要性はあるのか?
学校の授業で行われるのは「話す」以外の3技能が中心となっています。
- 共通テストだけ、「話す」技能を試すのは不自然では?
- 各大学、個別試験はこれまで通りの試験なので、「話す」技能は不要なのでは?
仮に、「話す」技能を強く打ち出すのであれば、学校のカリキュラムも「話す」ことを中心にした内容にしなければならないのでしょうか?
疑問③ 英語だけ民間に丸投げって、どうして?
4技能を問うという方針はいいとしても、
- 英語だけ民間に委託するのは、いったいなぜ?
と感じてしまいます。
- 4技能をテストで点数化することにどれだけ意味があるのか
- 従来通りのマーク式・3技能試験のクオリティを上げるべき
英語だけ、他の科目を差し置いて単独で突っ走るのは、やめましょう。受験生が混乱するだけでなく、学校現場の負担も考えてください。
国立大学は早くも「採用する気なし」
今回の記事の中で、次のようなことが書かれていました。
2020年度に始まる大学入学共通テストに導入される英語の民間資格・検定試験の成績について、全国の国立大学82校のうち、少なくとも13校が「中学卒業程度」を出願資格とすることが判明した。(中略)
中学卒業程度とは、語学力の国際指標「CEFR(セファール)」の6段階で最低レベルのA1に相当する。出願資格(一部の学部のみを含む)をA1としたのは、帯広畜産大▽宮城教育大▽横浜国立大▽上越教育大▽金沢大▽福井大▽京都教育大▽徳島大▽香川大▽愛媛大▽高知大▽福岡教育大▽熊本大――の13校で、毎日新聞が4月30日までに各大学のホームページなどで公表された内容を集計した。
このように判断した主な理由が、
民間試験の利用が受験生の門戸を狭めてしまうことを懸念した
といいますが、この段階で「公平性」に欠けていると判断している証拠ですね。
中卒程度の英語が出願資格になるなら、そもそもテストを実施する意味ないと思うのですが。
さらに、記事の中で
岡山大は昨年7月に英語の民間試験を全受験生に課し、その成績を大学入学共通テストの成績と合わせて評価する方針を公表した。だが今年3月、「全受験生に民間試験の成績提供を原則求めるものの、成績を合否判定に使わない」と変更した。加点方式を採用するとしていた岡山県立大も同月、「民間試験を利用しない」と発表した。
といった動きが出ていることも紹介されています。
各大学、「共通テストは評価として採用する気なし」という方針が、前面に出てきてもおかしくないように思えます。
まとめ
今回の記事のまとめです。
- 共通テストの英語は不公平感が強い
- 「中卒程度」の英語能力で出願可能→テストとして機能していない
- 英語だけ謎の民間委託 各大学「採用する気なし」
正直、問題だらけの英語の試験ですが、大学入試テストとして実施するなら、
- 一つの試験に絞る(民間に頼らず、独自で問題作成すべき)
- 4技能のテストにこだわりすぎ(英語そのものの問題の質を上げればすべて解決)
だと思っているのです。
「話す」能力を身につけさせたいと考えるのはよくわかるのですが、それをわざわざ大学入試の共通テストに無理やり導入する必要性は、まったくの皆無。
皆さんは、どう思われるでしょうか。