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【重要】日本の大学入試制度の「ゆがみ」が、進研模試の「ネタバレ横行」を生む

 こんにちは、masaです。

 

受験生にとって大事な夏休み中に、次のようなニュースが話題となっています。

www.nishinippon.co.jp

この記事では「進研模試」のネット売買横行について書かれていますが、他の模試についても同様の「ネタバレ横行」が目立っていると言われています。

 

 これはひどい現状です。今回はこの辺りをまとめていきます。

 

 

 

 

不正の内容

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引用:https://news.livedoor.com/article/detail/16924603/

進研模試の不正の内容はこのようなものです。

  • インターネット上で模試の「ネタバレ」(解答・解説)が売買されている
  • 参加する高校によって実施日が異なることを利用した、悪質な手口
  • 問題と解答、解説がSNSなどで出回っている

進研模試の場合は、学校内部で実施されます。試験監督は学校の先生で行い、答案を回収したのちに、提出日までにベネッセへと発送することになります。

 

しかし、このことが学校実施日の差を生じさせています。これを逆手に乗って、ネット上で「ネタバレ」を入手し、点数を荒稼ぎして成績を残す。

 

こういったことが、他の模試を含め10年以上続いているというのは、なんとも許せません。

 

というより、10年以上続いていることを知りながら、それを食い止められないこと自体が問題ではないでしょうか。

 

あらゆる手段を講じて不正を抑制しようとしても、また新たな手口で「ネタバレ」を提供するという悪循環が続いているようです。

 

 

不正が横行する理由

そもそも、このような模試の「ネタバレ」という不正が横行する理由は何でしょう?

  • 模試の結果を大学推薦の選考に利用する学校もある
  • 内部進学の合否判定に利用する学校もある
  • クラス分けの判断材料に利用する学校もある

ということで、模試の結果を「外的な判断材料」に用いるようになった結果、このような悪事が浸透してしまったようです。

 

「何としても模試で点数を取り、大学に入学したい」。そういった生徒側の需要があり、実施日の差を利用した方法でその思惑に漬け込み、金銭を得ることを目的に供給を生み出す。

 

この結果、このような不正を生み出してしまったのです。

 

不正をしてまで点数を取るメリットはあるのか

そこまでして模試の答案を手に入れ、点数を稼いで偏差値を上げることにメリットはあるのでしょうか。

 

当たり前ですが、

  • 推薦、内部進学以外にはメリットは全くない
  • 実力を入試で出さない限り、不正をするのは無意味
  • 模試のデータの信頼性に関わる 

ということで、このような不正に手を染めること自体が非常に悪質であり、まったくの無意味です。

 

模試の目的は「自分のこれまでの学習を正しくアウトプットできるか」を試すことであり、「結果をフィードバックしてさらに今後の学習に生かす」こと。つまり、模試の役割は「内的な判断材料」に用いることです。

 

しかし、先に取り上げた通り「外的な判断材料」に模試が用いられてしまった結果、このような悪事が生み出されてしまった。「模試で偏差値を残すこと」、「推薦・内部入試のために点数を稼ぐこと」が模試の目的ではないのです。

 

「外部模試を利用すれば、客観的なデータを入手でき、しかも学校側も負担が少なくて済む」。こういった「模試の結果を入試の判断材料にしよう」という発想自体が完全なる間違えです。

 

不正を防ぐための方法

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根本的にこのような不正を防ぐ方法はいくつかあります。

 

統一実施日以外にテストを実施しない

現状は、学校ごとに実施日がずれてしまいます。学校行事やその他の事情など、それぞれの学校の置かれた立場は異なるからです。

  • 統一実施日意外にテストを実施しない

事は、不正に対する効果的な手段となり得るでしょう。

 

そのためには、試験会場を指定し、学校の運営に任せない方法をとるのです(現状、進研模試はすべて学校実施なので、これを行うには相当な人件費が必要です)

 

学校側の都合に合わせるのではなく、模試の日程に学校の行事を合わせるのです。

 

解答配布をずらす

もう一つの方法。

  • 解答配布をずらす

模試の解答は、テスト後の直後に配布されます。しかし、このことが不正を生む原因となり得ます。

 

具体的には、

  • 統一実施日から1週間前後のテスト実施猶予期間を設ける
  • 実施期間から一定時間たったのちに、受験生に解答を配布する

という方法が考えられるでしょう。

 

しかし、この方法のデメリットは「生徒の復習効果が薄まる」ことです。模試を実施したら、直後に見直したり、復習することに最も意味があるわけですから、これでは受験生のための模試とはならないかもしれません。

 

しかも、この方法は万能ではありません。理由は

  • 一部の優秀な生徒が、模範解答を「ネタバレ」させるケースが出てくる

可能性があります。つまり、実施日を1つに決めて模試を行わない限り、「不公平」なテストになってしまうことに変わりはないのです。

 

この辺りは、最近話題の「大学入試共通テスト」の「英語外部試験利用」にも通じる点ですね。統一感のないテストに、「公平性」は保たれません。

 

www.mathematica-teach.com

 

入試を「一般試験」のみにする

最後に、私が考える今回の問題の根本的な解決方法です。

  • 大学入試を 「一般試験」のみにする

理由を述べます。

 

普通に考えて、

  • 推薦入試・内部進学に模試の結果を用いない

という方法もあるのですが、これでは全国の高校で統一することは不可能だからです。

 

部活動問題でもそうですが、全国の高校全体でルールを決めること自体ができません。ルールを破り、必ず裏の行動をとる学校が出てくるからです。

 

であれば、入試制度そのものを根本的に変えて、模試の意義をそのまま生徒に還元させるようなシステムに作り替えてしまえばよいのです。このためには、入試制度そのものを変える以外に方法はありません。

 

とはいえ、模試を作成する業者や予備校には、このような力はあるはずもありませんから、引き続「いたちごっこ」のような対策を重ねていくよりほかはありません。

 

日本の入試制度が、模試の「ネタバレ」不正を横行させてしまった根本原因です。

 

まとめ

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今回の記事のまとめ。

  • 模試の「ネタバレ」不正が横行 しかも10年以上続いている
  • 「ネタバレ」不正が横行する理由は、「外的判断材料」に用いられてしまうから
  • このような不正を防ぐためには、「不正をするメリットがない」状態に持ち込む必要があり

ということで、日本の教育のゆがみがさらに見えた、最新の記事からでした。

 

このブログでも、テストは「成績判断のため」ではなく、「自分の学習のフィードバックのため」であると何度も述べてきました。

 

模試という超有用なツールを、「入試判断のため」とか、「クラス分けのため」に用いるのは、テストの目的を完全に見失っているとしか思えないのです。

 

皆さんは、どのように感じるでしょうか。