現高校2年生は本当に気の毒 「大学共通テスト」の混乱
実際に高校の現場で働いていますが、
現在の「大学入試共通テスト」を受験する高校2年生は、本当に気の毒です。
これまでのように「センター試験」という明確な目標があり、そこに向けて勉強することができました。
それとは対照的に、「英語民間試験」が延期となり、今度は「記述式」の問題点も指摘され、過去問もないままに不安ばかり募り、受験勉強に身が入らない状況だと察しています。
私が受験生なら、今後は共通テストがどうなるのか不安ですね。
そんな中、英語の民間試験に、これまで反対し続けてきた大学について書かれた記事が興味深い。
記事からの引用:
まず岩手県立大である。
今から約1年前、鈴木厚人学長は英語民間試験を導入しないと宣言している。 「その理由は、岩手県内を含め地方において、高校生に等しく認定試験を受検する機会が確保できるか、受検料や会場までの交通費など認定試験への経済的負担が多いことなど、不安を抱えたまま受検することを心配したためです。また、岩手の高等教育機関として地域の未来を担う人材育成を使命とする本学として、認定試験を受検しなかった場合でも、本学を受験することができるようにしたいと考えました」(2018年11月26日)
すばらしい。上からの命令を鵜呑みにするのではなく、受験生の将来を見据えて、必要のない試験を排除した、ということでしょうか。生徒のことをしっかり考えたうえでの決定です。
続いての東北大は明確だった。
「(中略)
また、本学が実施した高等学校調査でも英語認定試験を受験生に一律に課すことに対し、賛成が8%と少数である一方、反対は4割を占め、高等学校をとりまく環境で十分準備が整っていないと理解されます。
このような状況において、平成33年度入試で本学志願者に対し出願要件として英語認定試験の受検を一律に課すことや成績を合否判定に用いることには無理があり、逆に受験生の公平公正な扱いを損ねる恐れがあると判断しました。」
東北大学も、受験生の意見を集めたうえで客観的に「英語民間試験はNO」を決定しました。
最後に京都工芸繊維大である。
「(中略)しかしながら、一般選抜への英語認定試験の活用については、現時点で、複数の試験のスコアとCEFRとの対照や受験体制の面で十分な公正性と公平性が担保されていることが確認できないため、2021年度の一般選抜への活用は見送らざるをえないという結論になりました」
本当にその通り。
私も現場で初めて「英語民間試験」について周知されたのが、今からおよそ2年前。様々な民間試験のテストを上げられ、「CEFR」というスコア換算表を示され、「GTEC」を校内試験として導入するという流れになっていました。
学校内でも様々な疑問や懸念が沸き起ります。
- 授業の中でどのように「GTEC」対策・スピーキング対策を行うのか
- GTEC実施となる場合、学校行事を変更する必要がないか
- 生徒に全員受験させると、受験料の負担が大きすぎる
英語科は、民間試験に向けて校内に「GTEC」の試験を導入し、2018年から試験的に生徒に試験を受験させていました。この辺りから、民間試験に対する不信感は感じていましたね。
そもそも、「CEFR」のスコア換算の根拠もわからず、どうして種類の違うテストを同じ基準の点数で評価するのか、理解ができませんでした。
そのあたりから、「英語民間試験」導入が、いかに愚かなのかを思い知ったのです。
誰がどう考えても、不自然で不公平で、ゆがんだ試験体系です。
そして、現在の「大学共通テスト・数学と国語の記述式」問題も大きく話題となっています。
現高校2年生は、何を目標に勉強すればいいのかわからない状況です。
本当に気の毒。