面接試験対策で「夢がないなら嘘でもいいから語れ」という指導をしてしまう学校現場の現状
2学期に入り、高校3年生は大学の推薦入試を控える時期になりました。
そんななか、面接試験に向けて準備する受験生が増え始めています。
数学の授業中に、生徒から聞かれたことから今回の記事を記していきたいと思います。
面接試験の準備中の生徒から聞かれた質問
さて、推薦入試の準備中の生徒が私に聞いてきた質問は、以下のようなものでした。
「先生、ツアーコンダクターってどんな仕事ですか?」
はじめ、この質問を聞いたときに「?」と疑問符が頭の中に浮かんだわけですが、よくよく聞いてみると、その生徒は推薦入試の面接の対策をしていて、「ツアーコンダクター」がどういう仕事なのかわからないため、聞いてみたということでした。
そして、私が「なぜその仕事について私に質問したのか?」と聞いてみたところ、生徒からは意外な答えが返ってきたのです…
「将来の夢がなく、担任の先生から『夢がないなら、嘘でもいいから何か一つ夢を作れ』と言われたから」
私は呆然としました…「嘘でもいいから、夢を作れ」。
こんな面接指導を学校現場ではしているのだなと、愕然としたのです。
これが本当に面接に必要な準備なのか
今回の質問について、生徒には次のように私の考え(面接の一般常識?)を伝えました。
- 自分の本当の夢ではないことを偽って語ってはいけない
- 偽って語ったとしても、面接官にはそのことはすぐにわかる
- 偽りを語るのではなく、「本当の自分」について語るべき
偽ってでも夢を語ることは、生徒本人のメリットにもなりませんし、面接で好印象を与えることもありません。そんなことは当たり前です。
そもそも、「ツアーコンダクター」が本当の夢なら、どんな仕事なのかは聞かなくてもわかっていなければなりませんし、そこまで詳しく調べる必要性もありません。
偽りを語るのには、情報をたくさん集めなければならないし、情報を集めたところで自分の本当の興味ある分野ではないため、他の人に熱心に語ることもできません。
それゆえ、「無理やり夢を作り出し、そのために準備をする」ことは明らかに無駄な行為です。
面接のために必要な準備はこれだけで十分
では、面接試験のためにどのように準備を進めればいいのでしょうか。それほど難しいことではありません。
- 現在の自分について、自己分析する
- 過去の自分の経験から、どのような生き方をしてきたか振り返る
- 将来はどんな自分になりたいか、理想像を考えてみる
特に、現在の自分を自己分析することは非常に大切です。
夢がない事は、別に悪いことではありません。高校生のうちから明確な夢を持ち、その夢を大人になってもかなえ、その道しか歩めない人生も、なんだかつまらないと私は思います。
人生のライフステージごとに、夢は変わるはずです。
夢がないなら、「夢がない」自分を分析し、「どのように夢を見つけていくか」をはっきりと面接でつたえればよいのです。
嘘で自分を塗り固め、思ってもいないことを面接で語ったところで相手の感情を動かすことはできません。
相手の感情を動かすことができるのは、「自分が経験してきたこと」と「将来のビジョン」だけです。
なので、面接で最も大切なポイントは、以下の通り。
- 現在の自分についての見解をはっきりと示す
- 将来の自分についてのビジョンをはっきりと伝える
これだけです。
過去の経験をもとに、現在の自分についてしっかりと理解する。そして、将来について自分の考えと見通しを面接官に伝える。
面接に本当に必要なことは、これだけです。
まとめ 面接では自分を偽りなく伝えることが最も大事
これまでの記事のまとめです。
- 面接で自分を偽るのはNG
- 現在の自分について自己分析する
- 将来の自分について、明確なビジョンを持つ
- 面接では誠実にありのままの自分を伝える
面接のためにしっかり準備する必要はありますが、大切なのは「自分」について深く知ることです。
そして、「将来のビジョン」を明確に持っていることです。
これまでの過去は関係なく、自分に偽りなく、将来を見越してどんなことに取り組んでいきたいのか、正直な自分を相手に伝えることが、面接では最も大切なことです。